原作に魅せられたHOT・B FILM社
1991年、この日本で1本のフィルムが発表された。
『鋼鉄帝国』。
HOT・B FILM社が総力を挙げ研究し、思いと魂の全てを注ぎ込んだ作品である。
原作への思い。これがスタッフの最大の動力となる。ロケ地の決定には時間がかかった。
世界各地を取材し、会議を幾度となく繰り返すが、そのたびにイメージに合わないと背景技師が反対したためである。
クラシカルな世界にもこだわりが見られる。
戦闘機のミニチュアはリベットを打ち込んだ鉄板で覆い、動力には蒸気機関が用いられた。


プレミアの付いたパンフレット
連日満員御礼。映画館へファンが殺到。
当時2,000円で販売されたパンフレットには、今や13,000円というプレミアが付いている。


そして2004年・・・
倉庫の奥で眠りについていたフィルムの前に、一人の男が現れる。'91年当時、若手として映画『鋼鉄帝国』の制作に携わっていたスタッフである。
彼の手が伸びた瞬間、古びたフィルムに小さな魂が灯った。

彼は駆けだした。同じ魂を持つ仲間の元に。

十数年の時を経た今、フィルムはひどく劣化しており、再生不可能な個所や紛失個所が多く見つかった。
フィルムの再編集には限界がある。復旧作業に対し周りからは「無謀な復元」と非難され、挫折の日々を繰り返した。

しかし、鋼鉄帝国への情熱は彼らに諦める事を許さない。
そして、ついに彼らは決意する。
完全新ロケーション地での撮影! 新たにスタッフを増員し、新体制での撮影に望んだのだ。

溢れんばかりの臨場感をかもし出す為に用意された火薬は100t以上!
美術スタッフの手により新たに生まれ変った巨大模型や背景セットの数々!
作っては爆破撮影の日々。
天をも焦がす炎は、まさに彼らの心そのものだったのかもしれない。
断固妥協を許さない、むせ返る様な熱気が撮影現場を覆う。
スタッフ全員、新たな鋼鉄帝国の撮影に命を注ぎ込んだ。

昼夜を問わぬ撮影の末、『鋼鉄帝国』は以前と同様の、いや、それ以上の輝きを放ち完成。
再び甦った傑作に、彼らはオリジナル版製作スタッフに最大の敬意を表し『鋼鉄帝国 from HOT・B』と名づけた。