甦る『鋼鉄帝国』。自宅でその話を聞いた次の瞬間、私の体はHOT・Bフィルム社にあった。 気がついたらそこにいたのだ。私はその場でこの仕事を願い出た。 初めてこの作品に出会ってから十三年。再び刻み始めた『鋼鉄帝国』という名の時。 そこに快く参加させてくれたスタッフに心から感謝したい。 試写で『鋼鉄帝国』の文字を見たとき、体中に鳥肌が立った。 激突する"モーターヘッド帝国"と"シルバーヘッド共和国"。大空を駆けめぐる鉄の戦士。 唸りをあげる歯車と蒸気の叫びはまさに"ときの声"だ。 断末魔の炎を上げ、天を黒く染めながら沈みゆく船。それを見守り続けるオーケストラの調べ。 フィルムから湧き出るすさまじい気迫。 彼らの雄姿は私の心に止まること無き躍動を与えてくれた。 時を超え、現代も世界中で愛され続ける戦国絵巻。今もなお、失われることなく輝く古き良き魂。 『鋼鉄帝国 from HOT・B』はこの魂を核として輝いているのだろう。 新たな誕生を目にしてから1週間が過ぎた。あの日以来、満足に眠ることができなくなっている。 心の中で暴れる高鳴り。それが私を眠らせないのだ。 |
映画評論家 浅川健治 |