「現世、乱れるとき、常世・黄泉に災厄あり。アメノミハシラ、縁の風を吹かせ、揺らぎを正す者、御魂守を呼びたもう」常世に伝わる伝承である。
現世(うつしよ)。そこは、時をつむぐ世界。
常世(とこよ)。そこは、時が積み重なる、永遠の昼の世界。
黄泉(よみ)。そこは、時が滅びる、永遠の夜の世界。
現世で生まれた時は、常世に積み重なり、やがては黄泉で崩壊し、再び現世で時を生み出す力となる。
三つの世界をめぐる時の輪廻は、世界の秩序の根源である。
その秩序を護る力……御魂。
いにしえの時神は、秩序を管理する者として御魂を集め、常世と黄泉をつらぬく時神ノ樹アメノミハシラを創造された。さらに時神は、輪廻を回す力として二つの鏡を創造された。太陽の鏡・天照鏡と、月の鏡・月読鏡である。
アメノミハシラは鏡を護る者として、常世に住まう六種族にその役目を与えた。六道輪廻を護る者、六部衆である。
世界に揺らぎが生じたとき、アメノミハシラは声を伝え、六部衆に対応を命じた。だが、揺らぎが限界を超えたとき、アメノミハシラは風を吹かせ、縁(えにし)を結び、現世から御魂を持つ者を呼び寄せる。それが御魂守(みたまもり)である。